海外FXで利益が出ると、次に気になるのが税金の扱いではないでしょうか。
海外FXの税金って、国内のFXと同じ計算でいいんでしょうか……?
実はそこが大きく違うところなんです。海外FXと国内FXは、税金の計算のしかたそのものが別の制度になっています。
この記事では、海外FXの利益が「総合課税」の雑所得になる理由と、国内FXとの違い3つを、国税庁の公式情報にもとづいて整理します。あわせて確定申告が必要になるケースと、申告の流れも紹介します。
- 海外FXの利益がなぜ「総合課税」になるのか、国内FXとの区分の違い
- 税率・損益通算・繰越控除、国内FXとの違い3つ
- 確定申告が必要になるケースと、申告の流れ
海外FXの税金はなぜ「総合課税」になるのか|国内FXとの区分
国税庁のタックスアンサー(No.1521)は、外国為替証拠金取引(FX)の課税関係を、取引の該当区分によって2つに分けて説明しています。分かれ目になるのは「金融商品取引法上、その取引がどう位置づけられているか」という点です。
国内FX(登録業者・くりっく365)の区分
金融商品取引法上の「市場デリバティブ取引」、または「店頭デリバティブ取引(第一種金融商品取引業者や登録金融機関を相手方とする取引に限る)」に該当する場合、つまり国内の登録FX業者やくりっく365で取引した場合は、他の所得と分けて計算する「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税が適用されます。国内で口座を開設するFX会社の多くは、この登録業者にあたります。
海外FX(無登録業者)の区分
一方、国内で登録のない海外の業者との取引は、この「市場デリバティブ取引」にも「店頭デリバティブ取引」にも該当しません。この場合、国税庁は「一般的には、雑所得として総合課税の対象となり、課税総所得金額に応じた税率(超過累進税率)で課税されます」と説明しています。多くの海外FX業者は日本の金融商品取引業者としての登録を受けていないため、この区分に入ります。
つまり、同じ「FX」という名前がついていても、取引する業者が国内の登録業者かどうかで、税金の計算方法が根本から変わるということです。「海外の業者のほうがレバレッジが高いから」という理由だけで選ぶと、税金面の負担を見落としがちなので注意しておきたいところです。次の章で、実際の税率と国内FXとの違いを具体的に見ていきます。
海外FXの税率と計算例|超過累進課税の仕組み
総合課税の対象になると、海外FXの利益には所得税の超過累進税率が適用されます。課税所得の金額が大きくなるほど、段階的に税率が上がっていく仕組みです(国税庁 No.2260)。
| 課税所得金額 | 所得税率 |
|---|---|
| 195万円以下 | 5% |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
この所得税率に加えて、住民税(所得割)の標準税率は10%です。所得税5%〜45%に住民税10%を単純に加えると、合計は15%〜55%になります。※当サイトの計算で、復興特別所得税は含みません。住民税の税率は自治体により異なる場合があるため、お住まいの自治体でご確認ください。
ここで注意したいのは、この税率は海外FXの利益単体ではなく、給与所得など他の所得と合算した課税所得に対して適用されるという点です。たとえば、給与所得など他の所得を含めた課税所得の合計がすでに900万円を超えている人の場合、海外FXの利益にあたる部分には33%〜40%の税率区分が適用されることになります。反対に、他の所得が少なく課税所得の合計が195万円以下におさまる人であれば、税率区分は5%からのスタートです。
正確な税額は、控除額や各種の所得控除によっても変わります。ここで示したのは、あくまで税率区分の考え方を示す一例です。実際の納税額を試算する場合は、確定申告書の作成時に税務署や税理士に確認してください。
国内FXとの違い3つ|税率・損益通算・繰越控除
海外FXと国内FXは、税率だけでなく、損失が出たときの扱いも大きく異なります。3つの違いを表で比べてみます(国税庁 No.1521・No.1522・No.1523)。
| 比較項目 | 国内FX(登録業者・くりっく365) | 海外FX(無登録業者) |
|---|---|---|
| 税率 | 一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) | 超過累進税率(所得税5%〜45%+住民税(標準税率10%)) |
| 損益通算の範囲 | 他の「先物取引に係る雑所得等」とのみ通算可 | 雑所得の範囲内でのみ通算可(他の所得区分・先物取引に係る雑所得等との通算は不可) |
| 3年間の繰越控除(先物取引に係る雑所得等) | 翌年以後3年間、先物取引に係る雑所得等の金額から繰越控除できる(手続きの継続提出が必要) | 対象は国内FXなどの区分。海外FXの損失の扱いは税務署または税理士に確認 |
特に押さえておきたいのが繰越控除の対象範囲です。損失を翌年以後3年間繰り越せる制度(先物取引に係る雑所得等)は、金融商品取引法上の市場デリバティブ取引と一定の店頭デリバティブ取引(国内FXなど)が対象です。国内FXは、その年に損失が出ても、翌年以降3年間は先物取引に係る雑所得等の利益と相殺できます(損失が出た年に申告し、その後も申告を続けることが条件です)。海外FXの損失の扱いは、申告前に税務署または税理士に確認してください。
どちらの税制が自分に合っているかは、取引スタイルや利益の水準によって変わります。この記事は税金の仕組みに絞って説明していますが、レバレッジや入出金の条件まで含めて7項目で比べた記事も用意しています。海外FXと国内FXを7項目で比較した記事に、税金以外の観点もまとめています。こちらで詳しく確認できます。
国内のノックアウトオプションやプロップファームという選択肢を含め、海外FXからの移行先をまとめたガイドがあります。それぞれの向き・不向きを整理していますので、判断材料の一つになるはずです。
確定申告が必要になるケース|給与所得者の20万円ルールなど
海外FXの利益は雑所得にあたるため、一定額を超えると確定申告が必要になります。どのようなケースで申告が必要になるか、代表的な条件を確認しておきましょう。
- 給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている会社員で、給与・退職所得を除く各種所得(海外FXの利益を含む雑所得など)の合計額が20万円を超える場合(国税庁 No.1900)
- 個人事業主・自営業の人など、そもそも確定申告が必要な人は、海外FXの利益の金額にかかわらず合算して申告する
- 上記に当てはまらない場合でも、収入の状況によって条件は個別に異なるため、判断に迷うときは税務署に確認する
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、それに対する税額を計算して確定させる手続きです(国税庁 No.2020)。確定申告が必要になるかどうかは、利益の水準や働き方によって決まります。判断の基準は上のケースのとおりです。
税金の負担を踏まえたうえで、そもそも損失を限定できる取引環境に移りたいと考える方もいます。最大損失をあらかじめ決められる国内のノックアウトオプションを扱う証券会社を比べた比較記事もありますので、気になる方は目を通してみてください。
確定申告の流れ|4ステップ
確定申告が必要とわかったら、次は実際の手順です。海外FXの申告は、大きく分けて次の4ステップで進みます。
- 1年間(1月1日〜12月31日)の海外FXの損益を、取引履歴から集計する
- 給与所得など他の所得と合算し、所得税額を計算する
- 確定申告書を作成する(e-Taxまたは書面)
- 確定申告期間内に税務署へ提出し、納税する
この4ステップのうち、最初の「1年間の損益を集計する」段階が、海外FXの申告ではいちばん手間がかかりやすい部分です。国内の登録業者であれば年間取引報告書が発行されるケースが多いのに対し、海外の業者は取引履歴を自分でダウンロードし、円換算しながら集計する必要が出てきます。
2つめの「他の所得と合算する」段階では、給与所得や事業所得など、その年に得たすべての所得を合わせたうえで、総合課税の税率区分を確認します。ここまでの数字がそろえば、確定申告書の作成自体は、e-Taxを使う方法でも書面で作成する方法でも進められます。
1年間の損益を集計するところ、ちょっと大変そうですね……。
そうなんです。海外FXは国内業者のように年間取引報告書が発行されないケースもあるため、取引履歴を自分で確認しながら集計する必要があります。取引が多い方ほど、早めに準備しておくと安心です。
海外FXの申告をうっかり忘れていたら、どうなるのか。海外FXの確定申告を忘れていたら|期限後申告と加算税の基本
経費・住民税・外貨換算で気をつけたいこと
ここまでの内容だけでも申告の準備は進められますが、実務では細かい疑問も出てきます。ここでは特に迷いやすい3点を、確認先とあわせて整理しておきます。
- 必要経費として認められる範囲:実態に即した経費については、税務署や税理士に確認してから判断する
- 住民税の申告:要否や手続きはお住まいの市区町村にご確認ください
- 外貨建て取引の円換算:どのレートで円換算して集計するかは、税務署や税理士に確認しておくと安心です
なお、税制は毎年の税制改正で見直されることがあります。確定申告の年が近づいたら、その年の国税庁の案内を公式サイトで確認しておくと安心です。
入出金の話題でよく出る国外送金等調書・CRS・国外財産調書は、海外FXの入出金と税務署の記事で取り上げています。
海外FXの税金に関するよくある質問
海外FXの税金についてよくある質問をまとめました。
まとめ:海外FXの税金は「総合課税」、国内FXとの違いを踏まえて判断する
ここまで、海外FXの税金がなぜ総合課税になるのか、国内FXとの違い、確定申告の要否と流れを紹介してきました。
今回のポイントを改めておさらいします。
海外FXの課税方式:無登録業者との取引は総合課税の雑所得となり、超過累進税率(所得税5%〜45%+住民税(標準税率10%))が適用されます。
国内FXとの違い:国内FXは申告分離課税・一律20.315%で、損失の3年間繰越控除もあります。この繰越控除は先物取引に係る雑所得等(国内FXなど)が対象で、海外FXの損失の扱いは税務署または税理士に確認してください。
確定申告の要否:会社員なら給与以外の所得の合計が20万円を超えると原則申告が必要です。
手続きの注意点:経費の範囲・住民税の申告・外貨建ての円換算は、税務署や税理士、市区町村に確認しながら進めるのが安心です。
海外FXの税金は、国内FXよりも税率が高くなりやすいうえに、繰越控除の対象範囲も申告前に確認しておきたい点です。取引を続けるにしても、国内の選択肢に移るにしても、まずはこの違いを理解したうえで判断することが大切です。

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